意外に見落としがち?
家庭の医療費を節約する方法

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OECD(経済協力開発機構)の2019年のデータによると、日本人1人あたりの年間外来受診回数は12.6回で世界第2位、アメリカ人の約3倍、フランス人の約2倍に相当します。これは、日本には健康保険制度があり、医療機関を自由に選ぶことができて(フリーアクセス)、診療や投薬などの必要な医療サービスを平等に受けられることが大きな要因です。

半面、気になるのが医療費です。医療費控除や高額療養費制度など、医療費が多額に発生した場合の対処法は知られていますが、日常的な医療費の節約については意外と見落とされがちなのではないでしょうか。 そこで今回は、社会保険労務士でファイナンシャルプランナー井戸美枝さんに、日常生活で実践しやすい医療費の節約術を教えてもらいました。

1.すぐに病院にはいかず、セルフメディケーションで対処する

(軽い風邪や腹痛、頭痛などは、必ずしも病院の受診が必要ではないケースも多いものです。体調がすぐれないときにすぐに病院に行くのではなく、まずは「セルフメディケーション」で対処してみてください。セルフメディケーションとは、体調を自己管理しつつ、ちょっとした不調の際は市販薬などで改善をはかるというもの。病院に行くとかかる受診料を、節約することができます。薬局には、医師が処方する薬と成分が同じである医薬品も販売されています。「スイッチOTC医薬品」と呼ばれるもので、医療費控除の一環である「セルフメディケーション税制」の対象品目です。セルフメディケーション税制とは、対象医薬品を年間12,000円以上購入した場合、レシートや領収書があれば所得控除を申請できる制度。購入額は、申告する人と扶養している家族分を合算することも可能です。ただし、所得税や住民税を納めていること、定期健診などを受けていることなど、控除を受けるための条件がありますので、確認しておきましょう。

2.はしご受診(ドクターショッピング)をしない

担当医師と相性が合わない、治療内容に不満がある・・・などの理由で病院を変えることを、「はしご受診(ドクターショッピング)」といいます。病院を変えるたびに初診料がかかるうえ、検査や薬が重複して検査料や薬代にも無駄が生じます。コスト面以外にも、度重なる検査が体の負担となるほか、治療期間が長引きやすいなどのデメリットがあります。

3.処方薬はジェネリック医薬品を選ぶ

病院で処方される薬は、「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」にすることで薬代を抑えることができます。ジェネリック医薬品とは、新薬の発売後、数年~数十年の特許期間が切れたあとに、ほかのメーカーが新薬と同じ有効成分で作った薬です。新薬と同様の効き目でありながら、膨大な開発費がかかっていないため、3~5割以上安くなるものもあります。ジェネリック医薬品を選びたいときは、医師に「薬はジェネリックにできますか?」と聞いてみるといいでしょう。

4.医療費の支払いはクレジットカードで行い、ポイントを貯める

ほかのサービスとは違い、病院の支払いには値引きがありません。だからこそ、できる限りクレジットカードで支払いを行い、ポイントを貯めるといいでしょう。同様に薬代の支払いもクレジットカードで行うと、ポイントが貯まりやすくなります。なによりも、健康であることが最大の医療費節約術です。健康管理を意識しつつ、医療費を賢く節約してください。

監修 井戸美枝さん
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、経済エッセイスト。国民年金基金連合会理事(非常勤)。主な著書に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP社)、共著に『家庭の医療費をかしこく節約する77の方法』(PHP研究所)などがある。
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